低用量ピルは主に避妊目的で飲むお薬ですが、避妊効果だけでなく月経不順の改善やPMSの緩和、生理日の変更などメリットは盛りだくさんです。
その反面デメリットもあり、むくみや頭痛、胸の張り、食欲増進などがあげられます。
ピルを飲んでいる女性の中には、ピルを飲み始めてからなんと性欲が減退したという人もいます。
ピルを飲むと性欲が減退するというのは本当なのでしょうか?
ピルはホルモンバランスを整える
低用量ピルは卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれたホルモン剤です。
女性の身体はこの2つのホルモンのバランスが変化することによって生理を引き起こしています。
しかし、ストレスなど何らかの要因でこのバランスが崩れると、生理周期が乱れたり生理痛が悪化したりするのです。
排卵して妊娠するまでの過程でもホルモンバランスが変化しています。
低用量ピルは2つのホルモンのバランスを整える作用があるので、これらの不調を改善したり脳に妊娠したと思わせて排卵や着床を抑えたりする効果が期待できます。
ピルを飲むと性欲がなくなる?!
低用量ピルを飲むと性欲がなくなったり膣が濡れにくくなったりするという声をききますが、それは果たして本当なのでしょうか?
ピルの使用者8,400人を対象にした33年にわたる複数の研究結果によると、性欲が減退したと感じる人は全体のわずか15%にとどまりました。
22%が逆に性欲が高まり、残りの63%は特に変化はなかったと回答しています。
(参照:Birth Control Pills and Libido: Does the Pill Affect Sex Drive?)
しかし、女性ホルモンを変化させるピルが与える性欲への影響については未だ解明されていません。
ピルを飲んで自分の身体がどのように変化したかは、やはり自分が一番わかっていますし、日本の専門家でも「ピルを飲むことで性欲がなくなる人が少数ですがいらっしゃいます」と答える方もいます。
その理由は、性欲を増進させる男性ホルモンの分泌量が、ピルを服用することで減少するからだと言われています。
ピルを服用中に性欲が減退したら?
低用量ピルを服用している間に性欲減退の症状がみられた場合は、下記の方法で性欲が戻るかもしれません:
避妊方法を変える
低用量ピルは避妊方法の中でも妊娠阻止率が圧倒的に高い方法ですが、IUDやコンドーム、殺精子剤など避妊方法にはたくさんあります。
ピルの影響で性欲が減退するだけでなく他にもさまざまな不調がみられるかもしれません。
その場合は、避妊方法を変えることを検討してみると良いでしょう。
3相性のピルを服用する
低用量ピルには1シートの錠剤の配合量がすべて同じである1相性のものと、3段階に変化するものがあります。
3相性のピルは1相性に比べて、マイナートラブルを回避しやすいと言われています。
1相性のピルを服用していて性欲が減退していると感じた場合には、3相性のピルに替えてみることをお勧めします。
自分の感情としっかり向き合う
性欲は日々感じているストレスや抱えている心配事などでも減退することがあります。
性欲がなくなってきたと思ったら、最近イライラしたり不安に思うことがあったりするかもしれません。
ピルの影響も考えられますが、自分の感情としっかり向き合うことで、自分の中で他の原因が見つかるかもしれないのです。
病気がかくれていないか検査を受ける
性欲がない、膣が濡れにくいといった症状が起こるようになった場合、何かしらの異常が身体に起こっている可能性も否定できません。
1年以上健康診断を受けていない場合は特に、身体に異常が起こっていないか知るためにも健康診断を受けてみることをお勧めします。
女性機能に問題がないかを重点的に診てもらいたい場合には、婦人科やレディースクリニックを受診すると良いでしょう。
パートナーとしっかり話し合う
性欲がなかったり膣が濡れにくくて性交痛を感じたりする場合、パートナーから誘われても断りがちになってしまうかもしれません。
パートナーは自分とのセックスが嫌になったのかもしれないと傷ついて、二人の関係に溝が生まれる可能性もあります。
そのような事態を防ぐために、ピルを飲んでから性欲が湧かないことを打ち明けてみると、相手は理解してくれるでしょうし安心できます。